早速「1日1本記事を書く」宣言が形骸化してきた今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか?サボりがちでスミマセン。
さて、今日は前回の「憲法12条」に引き続き、自民党改憲案で醜い変貌を遂げている「憲法13条」について、現行憲法と比較検討した記事を書こうと思っていたのですが、聞くところによると何やら安倍首相がロシア外交に関連してまたやらかしたようなので、急遽そちらの記事を書くことにしました。
先週、ロシアで催された「東方経済フォーラム」に出席した安倍首相が、プーチン大統領の「一切の前提条件なしの平和条約締結をめざそう」という事実上の領土問題棚上げさえ視野に入れた提案に、その場で「領土問題を解決してから平和条約を締結する」という我が国の主張を伝えるでもなく、ただ愛想笑いを浮かべながら誤魔化した挙句、翌日には「平和条約締結への意欲の表れだ」と評価さえ行い、領土交渉を台無しにしたのは記憶に新しいですね。
その件に関する記事はコチラ。
そして、そんな安倍首相でもネット上を中心に厳しい批判に晒され、流石に「このままではマズい」と思ったのか、昨日16日に放送されたNHKの番組内において突然「プーチン大統領に直接反論した」などと言い始めたのです。
安倍首相発言を報じる共同通信の記事。
ぶっちゃけ、プーチン大統領との対談から数日が経過しているという奇妙なタイミングに加え、公文書を改竄してみたり虚偽データを用いてみたりと、市民を欺き続けてきた政権のトップによる一方的な口述でしかなく、何か附随して情報が提示されたわけでもありません。故に、そこで湧いてくる疑問は「本当に言ったのか?」というものでした。
少なくとも、プーチン大統領と安倍首相のやり取りを記録した映像からは、そのような発言をした様子は一切見受けられません。また、安倍首相も「直接反論した」と自己申告をしているに過ぎず、客観的な証拠の類はありません。今後出してくる可能性はあるかもしれませんが、そんな自分の主張を裏付ける証拠の類があれば、総裁選を有利に進めたい安倍首相にとって出し惜しみする理由は無いでしょう。
プーチン氏から“反撃”も 安倍総理、訪ロの成果は(18/09/13)
そんな訳で、真偽の程を調べようと日本語やロシア語で検索をかけてみると、自分でも拍子抜けするぐらい簡単に安倍発言の信憑性を打ち消す情報が出てきました。
まずは日本語の記事。
こちらがロシア語の記事。
要するに、上の二つの記事には「一切の前提条件なしの平和条約締結」というプーチン大統領の提案に対して「安倍首相は反応しなかった」という、プーチン大統領のスポークスマンを務めるペスコフ大統領補佐官の発言が紹介されているのです。
ドミトリー・ペスコフ大統領報道官(ロシア新聞より引用)
ちなみに、紹介したロシア語の記事(タス通信)には日本語の記事よりも詳しい内容が記載されており、そこにはペスコフ大統領報道官が、奇しくも安倍首相が「プーチン大統領に直接反論した」とNHKで述べた日と同じ日、つまり昨日16日に、ロシア国営テレビの番組で「(一切の前提条件なしの平和条約締結というプーチン大統領の)アイデアは演説の過程で出来上がった」ということ、それに対して「安倍氏(господин Абэ)自身は反応しなかった(не отреагировал)」と述べていた様子が綴られています。
ペスコフ大統領が問題の発言をしているのは、以下で紹介しているロシア国営テレビ「ロシア1」チャンネルで放送された「モスクワ、クレムリ、プーチン」と題する番組です。
Москва. Кремль. Путин. От 16.09.18
再生すると、インタビュアーからの質問を受け、ペスコフ大統領報道官が「安倍氏は反応しなかった」発言する部分から始まります。
ロシア側の言い分が絶対とは言いませんが、我々が触れられる記録の範囲内では安倍首相の言うように「プーチン大統領に直接反論」する様子は全く見受けられませんし、現時点では「安倍氏自身は反応しなかった」というペスコフ大統領報道官に圧倒的な分があります。
もし安倍首相がロシア側の主張とは異なり、自身の発言が事実として確実に存在するというなら、映像や議事録といった公的な記録を提示すべきです。そうでなければ、総裁選で自らを利する為に吐いたウソと取られても仕方がないでしょう。そのような無責任極まりない人間に外交など到底任せられよう筈がありません。
本当にプーチン大統領に直接反論したのか、安倍首相にはしっかりと証拠を添えて語る義務があります。総裁選に勝ちたいという安倍氏の私的な目的の為に外交的損失を与えられたら、主権者たる我々にとってはたまったものではありませんからね。
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