昨日の記事でも紹介したように、総裁選三選を目指して石破陣営を恫喝し、災害対応さえ蔑ろにして公開討論から逃げつつ「外交の安倍」をアピールする為にロシアの東方経済フォーラムに出席している安倍首相。
首相官邸ホームページより。
しかし、そんな安倍首相が外交的成果を積み上げるどころか、遂に戦後わが国が積み上げてきた対ロ(対ソ)外交を全否定し、日本の国家主権を脅かす暴挙に出ました。
まずは、 こちらのツイートをご覧ください。
プーチン発言概要「(安倍首相の「新しいアプローチ」を念頭に)よろしい、アプローチを変えよう。一切の前提条件なしに平和条約を締結する。今ではないが、年末までに。その後、その平和条約を基盤に、友人同士として、すべての係争中の問題を解決していこう」
— Akiyoshi Komaki 駒木明義 (@akomaki) 2018年9月12日
長らく朝日新聞モスクワ支局長を務めており、ロシア問題に精通している駒木明義氏によるリアルタイムツイートです。
事の性質上、同様の内容はマスメディアでも報じられていますが、その中でも読売新聞のものが要点を押さえていたので紹介しておきます。
…要するに、未だに結ばれていない日ロ間の平和条約締結を実現するために、安倍首相が「新しいアプローチ」をプーチン大統領に提案したところ、プーチン大統領はそれを逆手に取って「一切の前提条件なしに」平和条約を締結しようと応じたという話ですね。
年内の平和条約締結といえば聞こえはいいですが、プーチン大統領のいう「前提条件」に制約がついていない以上、こんな話を飲めば北方領土問題は事実上棚上げされる形となり、それは平和条約締結後に歯舞群島と色丹島の二島を返還するという日ソ共同宣言に反する物となります。
日ソ共同宣言が締結された当時の相手国は現在のロシア連邦ではなくソビエト連邦でしたが、ロシア連邦はソビエト連邦を相続し法的関係を承継していますので、今の日ロ関係においても「一切の前提条件なし」の平和条約締結など認められるはずがありません。
当然、我が国固有の領土である北方領土を守るべき責務を負った安倍首相はプーチン大統領の提案を撥ね付けるべきでしょう。しかし、下の共同通信のニュースを見て愕然としました。
安倍首相、プーチン大統領の提案を呑んじゃいました。
「外交の安倍」が肥大化した虚像だというのは重々理解していたつもりですが、これは流石に酷すぎるでしょう。ちなみに、安倍首相が「平和条約締結に繋げる」上で「成果」を出すと言っている共同経済活動に関しては官民合わせて3000億円が拠出されています。
つまり、安倍首相は「ロシアに3000億円も支払って国土を明け渡した」という訳です。ロシアからアメリカに譲渡されたアラスカや、フランスからアメリカに譲渡されたルイジアナのように、カネを貰って領土を売却した例はありますが、係争の相手国にカネを払って自国領土をプレゼントするなんて話は聞いた試しがありません。
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国家を構成する三要素は「国民、領土、主権」であり、これは常識と言っていいほど当たり前の話です。その不可分の三要素の一つである「領土」を蔑ろにする安倍首相に、我が国の主権者を代表して政府を指揮する資格はありません。日本の国土は市民共通の代え難い財産であり、安倍首相が自由に処分してもいい私有地ではないのです。
これまでも、安倍政権は北方領土における共同経済活動という外交的事実を壮挙であるかのように喧伝し、その後継続して行われた北方領土におけるロシアの大規模軍事演習や、軍事力の現代化による強力な軍事拠点化など、実効支配の既成事実化ともいうべき各種示威行動を黙認し続けてきましたが、その集大成が領土問題の棚上げとは笑止千万。日本国民に対する重大な背信行為です。
そもそも、領土問題を棚上げしての平和条約締結などが実際に行われれば、外務省の北方領土特設サイトに記載されている「北方四島の帰属の問題を解決してロシアとの間で平和条約を締結する」という基本方針にも反します。
私は北方領土を固有の領土とする日本国に住まう主権者として、国家の代表による重大な背信行為に対し、最上の怒りを以て抗議します。
それでは、今日はこの辺で。