今朝、いつものように目覚めた私は日課であるニュースチェックをしていたのですが、その中で朝日新聞に載っていたある記事を見つけて目が点になりました。
それがこの記事です。
最初に断っておきますが、私は石破氏の支持者ではありません。そもそも、今の自民党には基本的に反対の立場です。しかし、今回の出来事は党派の如何に関わらず「言論」に対する重大な挑戦かつ民主主義への冒瀆であり、看過できません。読者の皆様におかれましては、どうかその点を理解した上で読み進めて頂きたく存じます。
それでは本題に入りましょう。
現在、自民党では次期総裁を決める総裁選が行われていますが、自民党は周知の通り政権党(与党)であり、議院内閣制を採用する我が国においては事実上の「首相選挙」となります。
この自民党総裁選は従来、党則によって三選が禁止されていたのですが、東京オリンピックが催される2020年までの「改憲」を目指す安倍総裁一強体制のもと、昨年の第84回党大会により「三選禁止」規定は廃止されました。
ですから、今回の総裁選は安倍首相にとっても正念場であり、6月に発災した大阪北部地震の当日は夕方早々に官邸を去り、岸田元外相と会食(その後、岸田氏は立候補取下げ)を行ったり、死者227名という夥しい犠牲者を出した7月の西日本豪雨の時も、災害対策本部の設置もせず、首相動静に載らないようにしてまで公邸での極秘会合を優先したり、先日の台風21号でも朝夕合わせて十数分だけアリバイ作りのように災害対策本部に顔を出して新潟の支援者に会いに行き、6日前に発災した最大震度7の北海道地震を受けても、さっさと外交的成果をアピールする為にロシアへ向かったりと、形振り構わず一国の首相としてあるまじき行動を繰り返しているのです。
そんな安倍首相にとって、唯一の対立候補である石破茂の存在はこの上なく鬱陶しい「目の上の瘤」なのでしょう。そんな中で舞い込んできたのが冒頭で紹介した記事という訳です。分かりやすいというか何というか、呆れてしまいますが…
で、実際に記事を読んでみますと、石破氏への支持を表明した神戸市の岡田祐二市議は、ある「官邸幹部でもある地元選出の国会議員」なる人物から、石破氏の街頭活動に参加した場合「将来に差し障る」などという恫喝を受けたと、フェイスブック上で告発したようです。
その投稿がこちら。
確かに「官邸の幹部でもある、とある国会議員から、露骨な恫喝、脅迫を私達地方議員が受けて」いると書かれていますね。石破陣営に対する安倍政権への恫喝や圧力は石破氏自身も度々証言しており、マスメディア等でも報じられていますが今回は具体的な支援者からの証言であり非常に重大です。
そもそも、安倍首相は政治家なのですから言葉を武器にして戦うべきですし、そんな基本のキさえ忘れて卑劣な恫喝に頼る時点で総裁のイスに相応しい人物ではありません。で、こんな感じで裏ではマフィアのボス並みにえげつないマネをしている安倍首相ですが、表では総理総裁という立場を姑息に悪用して石破氏との公開討論から逃げ回っているというのが実情なんですよね。
ハッキリ言わせてもらえば、言葉を持たない人物が政治家であろうとする浅ましさには此方が赤面してしまいます。レベル低すぎ。
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という訳で、そんな情けない安倍首相を支える為に暗躍している「国会議員兼官邸幹部」が誰なのかが気になりますが、残念ながら岡田市議のフェイスブックには具体的な個人名が記されていません。しかし、岡田氏は朝日新聞の取材に「地元の国会議員」だと答えています。
であれば、探してやりましょう。
まずは、自民党のデータベースにアクセスして兵庫県選出の議員を探すと、衆参合わせて12名の議員がヒットします。
この中から「官邸幹部」に該当する人物を探します。何せ、この程度の数ですから5分もかかりませんでした。
で、弾きだされたのはこの人物です。
そう、自称「危機管理の専門家」である西村やすとし議員です。ちなみに彼は、西日本豪雨の際、安倍首相を含めた自民党議員が催した「赤坂自民亭」と称する飲み会の写真や、勝手に「山を越えた」などと事実誤認の内容をツイートし、激しい批判に晒された人物です。
もちろん「官邸幹部」であり「地元選出の国会議員」からの恫喝を受けた岡田市議は、フェイスブック上での告発で具体的な個人名を記載していませんから、その意味では安倍政権の鉄砲玉が西村官房副長官か否かは定かではありません。しかし、上述の条件に該当する兵庫県選出の議員が西村官房副長官しか存在しないのも事実です。
そもそも、誰であれ官邸幹部というのは行政府に所属する公人であり、党派性を剥き出しせず公平中立・不偏不党の立場で公務を遂行すべき存在です。そんな人物が、自民党総裁選という一党派の選挙に関与し、あまつさえ一方当事者を利する為に一市議会議員を恫喝するという行為自体、常軌を逸した行動であると断ぜざるを得ません。
勿論、誰が恫喝を加えたのか否かは明らかにされなければなりません。しかし、ここで重要なのは「如何なる立場の人物が恫喝を加えたのか」です。
日本国憲法では、第15条2項において「すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない」と定められていますが、上述の官邸幹部は「一党派、一個人」の為に動いているのです。これでは、一党独裁制やナチスのような全体主義国家と大差ありません。
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